タイ古式マッサージとは?
1.タイマッサージの特徴
タイ古式マッサージは、主に指圧とストレッチによって、体の全身にある「セン」と呼ばれるエネルギーラインを刺激し、血行とリンパの流れを良くし、心身の調子を整えていくマッサージです。
部分的な凝りをほぐすだけでなく、全身の血行を良くし、からだ全体の細胞にまで酸素や栄養を運ぶことで、その人が本来持っている自然の治癒力を回復させて、健康的な精神と肉体を取り戻すという施術法です。一般的なマッサージのように凝っている部分だけに働きかけるのでなく、ゆったりと時間をかけて全身を施術し、血流が良くなったところで特にお悩みの部分について施術していきます。
タイ古式マッサージのテクニックには、さまざまなものがあります。指圧のような母指や手のひらを使った圧迫以外に、肘や足を使ったテクニックがあります。なんといってもアクロバティックなストレッチテクニックはタイ古式マッサージの特徴ともいえるでしょう。
つぎにタイマッサージの特徴をもう少し具体的に説明してみます。
(1)足から始め、脚にこだわる
タイ古式マッサージが脚に
こだわる理由は?
タイ古式マッサージでは、施術時間のおよそ半分を足の施術にかけます。
「足裏には体中のツボがある」とか「ふくらはぎは第二の心臓」といった言葉、聞かれたことがあるかもしれません。これら足が非常に重要な働きをしていることをも意味しているのです。
当店でもタイ古式マッサージの際にはまず足裏の指圧から入ります。これは足裏を圧迫することで筋肉、血管、神経を刺激し、血液の循環を促すためです。特に足裏には内臓のツボがたくさんあります。内臓にお疲れが見受けられる場合は少し長めに足裏を押す場合がありますが、これによって腹部の血流が良くなってきます。お腹がグルグルと鳴り始める場合もありますが、これは効果が現れてきた結果おこるものです。
次に、脚全体をエネルギーラインに沿って圧迫します。母指の圧迫の後、手掌や足で脚にある6本のエネルギーラインを圧迫していきます。これにより「気」の流れを促し、血液やリンパの循環を促します。血液は血管の中を巡っていますが、圧迫によって細胞内の老廃物を毛細血管へと意図的に押し出しているのです。
足の血流促進の仕上げは足の付け根の圧迫です。血液とリンパの流れを一時的に止め、その後勢いよく足全体に流していきます。これによって血管内の老廃物を流していくのです。個人差はありますが、血が流れていくのを感じ足が温かくなってきます。「どのあたりまで温かさや流れを感じましたか?」とお伺いしますが、それは血流の様子や左右の足の状況の違いを把握するためにお聞きしています。それによりその後の施術の参考にさせていただいているのです。
※鼠径部圧迫については施術者は繰り返し練習したうえで、年齢や脈の力、血圧などを手で感じ
取りながら適切な時間等を判断しながらしています。家庭などで真似てしないでくださいね。
(2)時間をかけて全身をほぐす
肩や腰が痛くてもどうして」全身をするの?
タイ古式マッサージは一般的には2時間程度の時間をかけて行うのが良いとされています。実際にきちんとした指導を受けている施術者は2時間以上の施術が適切にできるかどうかという実技試験をおこなって合格をもらっているのです。
日本では時間や料金の関係関係から、60分や90分のコースが一般的になっていますが、タイ古式マッサージの本来の成果を得ようと思う場合は、90分以上の施術を受けることをお薦めです。
「肩や腰をしてほしいのに、脚にばかり時間をかけられる!」 そんな思いを持たれる方もおられるかもしれません。先に述べたようにタイ古式マッサージでは足に多くの時間を費やすだけでなく、手も指先までほぐしていってから腰、背中、肩などに移っていきます。これは、全身の血流改善をしないと部分的な凝りは十分に改善しないからです。肩や腰などだけの部分的な施術は一時的に改善がみられても、血流改善がなされていない場合はすぐに元に戻ってしまうのです。
「タイ古式マッサージは良い状態が長持ちする」のは、全身の血流改善の結果なのです。
肩こりで当店を訪れていただいたお客様の中には、「肩の施術前にもう肩が楽になった」と言われる方が多くおられます。これは体全体の血流が良くなったために、肩の血流も改善したからです。このように全体の血流を良くし、ある程度楽になったところで特にお疲れの部分の施術を行ってよりよい改善をはかるのです。
さらに予防的な施術も含めておこなうのがタイ古式マッサージの特徴です。予防的な施術は主にストレッチにより行います。当店の施術で後半にストレッチが増えるのはそのためです。血行を良くした後、筋肉の硬いところを伸ばしてほぐす、それにより再びコリや痛みが生じるのを予防する対策もしているのです。
以上のようにタイ古式マッサージは全身に対して働きかけるため、長い時間の施術のほうがのぞましいのです。
(3)ストレッチとその効果
ストレッチが多いのは
どうして?
タイ古式マッサージの特徴の一つが多様なストレッチを用いるところです。タイ古式マッサージにおけるストレッチの効果について次の2点にまとめて説明します。
ひとつめは、血流の促進により筋肉の緊張状態をほぐしていく効果です。凝りが生じるということは、筋肉に十分に酸素が送られず、乳酸などがたまっていくことに原因があります。ストレッチにより筋肉を伸ばしたり縮めたりすることにより、血流を良くして老廃物を毛細血管に送り出し、柔軟な筋肉を蘇らせていくことができます。
ふたつめは、筋肉を柔らくすることにより関節の可動域を広げていき、治療だけでなく予防的な効果をもたらすことです。「凝ってるのは姿勢にも原因がありますよ。姿勢を良くしましょう!」なんて言われたことはありませんか? でも、そう簡単に姿勢の改善ってできないですよね。それは、筋肉が張ったりすることによって関節の可動域が狭まったり、縮こまったままの筋肉がどこかを引き寄せているからなのです。だから、その改善のためには姿勢を悪くしている筋肉を柔らかくしてあげなければなりません。ストレッチを継続して筋肉を柔らかくし、関節の可動域を広げていくこと、コリや痛みを和らげるのはもちろん、コリや痛みを再発させないために大切なことです。
タイ古式マッサージでは、そのような視点に立って、単に痛みを改善するだけでなく、原因を取り除いて予防をするためにストレッチを活用しているのです。
さらにもう一つストレッチの効果を付け加えると、それはリラクゼーション効果が高いということです。ストレッチをしてその前後で脳波や自律神経活動がどのように働いているかを測定する実験がありました。その結果、前頭葉で発生するα波の増加や心拍数の低下が認められ、ストレッチには副交感神経の働きを優位にさせ、リラクゼーション効果をもたらす働きがあることが明らかになりました。
(4)より効果的なタイ古式マッサージの受け方
呼吸を意識すればさらに
効果アップ!
「マッサージって寝てるだけだから、受け方とか関係ないでしょ?」 とかくそう思われがちですが、マッサージにもより効果が出やすい受け方というのがあるのです。一つは、リラックスした状態で受けること。力が入ると筋肉が緩みません。できるだけ力を抜いて受けてください。
もう一つは呼吸です。特にタイ古式マッサージは呼吸を意識すると効果がより高まると言われています。基本は原則として指圧や掌で体を押しているとき、ストレッチをかけているときに息を吐き、圧が弱まると息を吸うという流れで施術を受けるとより効果が高まってきます。
タイ古式マッサージのルーツは、インドのアユールヴェーダと言われ、日本でも近年盛んにおこなわれている「ヨーガ」とルーツが同じです。比較的深い呼吸は体をリラックスした状態にし、
さらに施術と呼吸を合わせることにより体への各部分への血流や酸素の流れがよりスムーズに進んでいくのです。
2.タイ古式マッサージの効果・効能
(1)タイ古式マッサージの効果
タイマッサージは体の凝りや疲れを癒すだけではなく、一時しのぎでないマッサージ法です。血液とリンパ液の循環を促すことで根本的な体質の改善を目指す療法です。つまり局部的な改善を図るのでなくて体全体の改善を図るのが究極の目的なのです。
ではここで、タイマッサージが具体的にどのような効果があるのかを5つに分けて説明します。
①筋肉の柔軟性が増し、老化が防止できる
私たちの体は、生まれた時には非常に柔軟性に富んでいます。しかしその後10代をピークに筋肉は硬くなり、関節の可動範囲も狭くなり、内臓や運動機能も低下し、老化が進んでいきます。硬くなった筋肉内には、老廃物が停滞し、痛みが出たり、筋力の低下を招きます。
タイマッサージでは、筋肉を十分にほぐすため、筋肉内の老廃物を外に排出し、こりを取り去り、酸素や新しい栄養素を取り入れ、もともとの柔軟性を取り戻し、筋肉を若変えらせることができるのです。
②自律神経のバランスが取れ、体と心がリラックスできる。
私たちの体は、交感神経と副交感神経の2つの自律神経によって支配されています。自律神経は、血圧、脈拍、呼吸、体温、消化・吸収、免疫、ホルモンなどをコントロールしていて、強いストレスを感じると交感神経が優位になり、体は戦闘状態になります。その結果、血圧上昇、心拍数増加、筋肉硬直、呼吸数増加、内臓機能低下、免疫力低下、ホルモンのバランスの崩れなどが生じます。
タイマッサージにより筋肉のこりがほぐれると、自律神経は本来のバランスを取り戻し、副交感神経が優位になります。これにより脳はリラックスし、筋肉も緩み、精神的にも肉体的にもリラックスすることができるのです。
③呼吸が長く深くなり、半覚半眠の状態を体験できる。
私たちの体は、食べ物を消化吸収し、呼吸により酸化反応を続けて、エネルギーを得ています。この時、酸素が不足すると、体質が酸性化し病気を受け付けやすい体になります。また、炭酸ガ スの排出が充分でないと、神経の働きは鈍くなり、筋肉は硬化し、各臓器の働きも低下してしまいます。
タイマッサージでは、ストレッチをする側もされる側も長い呼吸になるため、酸素が良く入り、炭酸ガスが排出されるため、体質の酸性化を防ぐことができます。また、この時の呼吸はによって、脳波はアルファー波が多く瞑想状態となり、集中力が高まり良いインスピレーションを得ることができるのです。
④体の歪みがなくなり、神経痛、関節痛が解消される。
私たちの体は、左右・前後のバランスの悪いスポーツ(ゴルフ、野球、テニス、ボーリングなど)や不良姿勢(猫背、横座り、片側に鞄をかける)などで、筋肉の緊張に差ができ、背骨や関節が歪みます。歪んだ体では、神経や血管が圧迫され、神経痛・血行障害・内臓の機能低下などが起こります。
タイマッサージには、左右の筋肉を対称的にマッサージする手技と、骨盤、股関節、仙腸関節、腰椎、胸椎などを矯正する動作があるため、関節のずれがなくなり、体の前後左右のバランスも良くなり、神経や血管、リンパ管の圧迫がとれ、腰痛、神経痛、関節痛、血行障害、むくみ、内臓の機能低下などが解消されるのです。
⑤慢性病に対しての治療効果と予防効果
私たちの体には、内臓に異常がある場合、その内蔵に対応した皮膚や結合織、筋肉などが反応する反射というシステムがあります。特に、背骨の両脇にある脊柱起立筋には、反射部位が多く存在し、内臓の反応がこりとして現れます。そして、その反射部位の圧痛やこりに対して施術をすることにより、関連した内臓の機能を改善することができるのです。
タイマッサージで反射部位をほぐすと、各臓器に関係する様々な慢性病(頭痛、不眠症、めまい、花粉症、鼻づまり、耳鳴り、喘息、気管支炎、五十肩、心臓病、高血圧、低血圧、胃腸病、肝臓病、腎臓病、生理痛、不妊症など)の改善に効果があり、それらの慢性病を予防し、病気を未然に防ぐこともできるのです。
(2)タイ古式マッサージの効能
タイマッサージの効能は、カラダの懲りや疲れを癒すだけではありません。タイはもちろん、最近では日本の医師達がタイマッサージに注目しています。ストレス社会と言われる現代において、ストレスが原因で様々な病気が発祥している事がわかっています。ストレス性疾患には、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸炎、うつ病、自律神経失調症、ED、更年期障害、偏頭痛、不眠症、円形脱毛症など、多くの疾患があります。
タイの衛生省が掲げるタイマッサージの効能は高血圧、冷え性、便秘、アレルギー、頭痛、糖尿病、生理不順、風邪の予防、低血圧、食欲不振、喘息、貧血など、60種類以上にもなります。
〇器官系
・胃腸・慢性胃炎・便秘・下痢・食欲不振・体力増強・老化防止・風邪の予防・高血圧・低血圧・貧血・血行障害・冷え性・生理不順・不妊症・喘息・アレルギー
〇凝り、疲れ、痛み
・筋肉痛・腰痛・肩こり・眼精疲労・リウマチ・膝の痛み・足のつり・倦怠感
〇美容系
・肥満防止・太りすぎ・ウエストラインのシェイプアップ・脚のむくみをとる・肌の新陳代謝を促進・しわの減少
〇精神系
・ 不眠症・ヒステリー・興奮を静める・ストレス解消